パワーコードや6度のボイシングなどを用いてコードの雰囲気を変えてみよう

 今まで解説してきたダイアトニックコードやノンダイアトニックコードは、すべて3度、3度で積み上げた「基本形」と呼ばれるものを中心に解説してきました。

 実は、この基本形で用いられる3度の音程は、「比較的固い音」という特徴があります。

そのような音が曲にマッチする場合は問題ありませんが、力強い雰囲気にしたい、柔らかい雰囲気にしたい、などというときは、積み重ねる度数(隣り合ったコードトーンどうしの音程)のを変えることで雰囲気を変えることができます。

 そこで本記事では、パワーコードといわれる完全5度と完全4度からなる音程や、長6度や短6度の持つ雰囲気、そしてその活用法などを説明していきたいと思います。

パワーコード(完全5度の響き)で力強いサウンドを!!

 3和音のメジャートライアドやマイナートライアドなどを隣り合ったコードトーンの音程が完全5度と完全4度になるように構成を変えると、力強い響きとなります。

 

たとえば上記は普通の3度で積みかさねたカノン進行の動きです。

美しい響きですが、これを完全5度と完全4度の音程にすると力強くなります。

やり方としては、メジャートライアドやマイナートライアドをもとに、

  1. ルートから3度の音を削除する
  2. ルートから1オクターブ上の音を追加する

だけです。

ちょっとリズムも変えていますが、上記にて青で囲った部分は完全5度、赤で囲ったものは完全4度です。

このような完全5度と完全4度を積み重ねたコードをパワーコードといいます。

このように、大変力強い音になり、歪んだギターの音で使うと曲がとてもパワフルになります。

ルートから3度の音が無いので、明暗は前後の流れや他のパートにゆだねられることになります。

 パワーコードという名の通り力強い音が特徴ではありますが、実はとても繊細で、完全4度完全5度以外の音程と一緒にいるとその雰囲気はすぐ壊れてしまいます。

 学校でもやたら突っ張ってて不良めいてて先生に反発しまくってるけど、喧嘩したら滅茶苦茶弱い生徒ってたまにいますよね。

 それと同じような感じで、パワーコードはただ粋がってるだけで本当は弱いのです。それについては次の段落の公判で説明しましょう。

6度のボイシングで柔らかい雰囲気を!!

 逆に3度の堅い雰囲気を、優しく柔らかい雰囲気にしたい場合は、6度のボイシングを用いると良いです。

 コードトーンの中央の音を1オクターブ上げる、などで隣り合うコードトーンの間に長6度、もしくは短6度の音程を構築します。

カノン進行のコードの真ん中の音を1オクターブ上げてみました。

結果、赤で囲った部分の音程は長6度、もしくは短6度となります。

 固めだった3度の響きよりも、優しく柔らかい雰囲気になったかと思いますので、バラードなどではこの音程を用いると生えやすいです。

 森山直太朗さんの「さくら」のイントロの出だしは、6度の音程の柔らかさを存分に生かしたものになっていますので、一度CDなどを聴いてみてください。

 そして、6度の音程を構築したとき、もう一方の音程は完全5度になっているはずなんですが、もうパワーコードの力強さは一切ないですね。

 完全5度の力強さは6度の柔らかさに簡単にかき消されてしまうことがお分かりいただけたかと思います。

コードの世界でも現実の世界でも、本当は粋がってる奴は大概弱く、優しい者の方が強いのです。

まとめ

 本記事では、基本形の3度で積み重ねられたコードを、別の度数にすることで雰囲気を変えてみる、という手法を解説しました。

  • 3度の響きは固い雰囲気
  • 完全5度&完全4度は力強い響きだが他の音程の雰囲気にすぐにつぶされてしまう
  • 長6度&短6度は優しく和らい響き

本記事の内容に加えて以前お伝えした転回系の技法も用いることで、全く同じコード進行でも大きく雰囲気を変えることにつながりますので、是非とも試してみてください。