本記事では、ノンダイアトニックコードの中でも最も幅広く使われていて、比較的理解しやすい「セカンダリードミナント」についてわかりやすく解説していきたいと思います。
セカンダリードミナントの技法を習得することで、コード進行のパターンが数倍に膨れ上がるだけでなく、楽曲のクオリティをよりキャッチーでオシャレにすることができます。
また、今後のあらゆるハイレベルなノンダイアトニックコードの技法を学ぶ際の重要な基礎知識ともなりますので、本記事にて是非とも理解していただければと思います。
なお、この記事の内容を理解していただくには、あらかじめダイアトニックコードについて、およびドミナントについてのの理解が必要になりますので、不安な方はリンクをクリックしてご覧ください。
セカンダリードミナントについて分かりやすく
セカンダリードミナントは、プライマリードミナントに次ぐ「第2のドミナント」とも言われます。
(プライマリードミナントというのはダイアトニックコードのⅤ、もしくはⅤ7のコードのことです。
セカンダリードミナントの構築には以下のルールがあります。
- セカンダリードミナントは、ダイアトニックコードのうちルートがⅠ、Ⅶになるもの以外のコードをターゲットとし、その手前に入れることができるコードである(合計ターゲットは5種類)
- セカンダリードミナントの構成ルールは3和音の場合はメジャートライアド、4和音の場合はセブンス(7)となる
- セカンダリードミナントのルート音は、ターゲットのコードのルートよりも完全4度下、もしくは完全5度上になる。(つまりターゲットのコードに向かって強進行の関係となる)
- 分析方法は、V7/●となり、●の部分は、ターゲットのコードのルートに該当するローマ数字が入る。
- セカンダリードミナントからターゲットのダイアトニックコードに向かって、矢印を付けることで分析を分かりやすくする方法が良くとられる
上記のようなルールに基づいて構築した場合、特に4和音の場合はトライトーンがあり、ターゲットのコードにてそのトライトーンが解決されます。
さらにルートモーションは強進行の動きとなるため、とてもキャッチーで力強い響きになるのが特徴です。
上記は、ⅠM7から、セカンダリードミナントを経て他のダイアトニックコードへ進む場合の、コード及び分析となります。
以下に、セカンダリードミナントの響きを感じていただきましょう。
ⅠM7から、他のダイアトニックコードへ進行する際、間にセカンダリードミナントを挟む場合と挟まない場合の違いをお聴きください。
- ⅠM7-Ⅱm7(セカンダリードミナント無) ⅠM7-Ⅴ7/Ⅱ-Ⅱm7(セカンダリードミナント有)
- ⅠM7-Ⅲm7(セカンダリードミナント無) ⅠM7-Ⅴ7/Ⅲ-Ⅲm7(セカンダリードミナント有)
- ⅠM7-ⅣM7(セカンダリードミナント無) ⅠM7-Ⅴ7/Ⅳ-ⅣM7(セカンダリードミナント有)
- ⅠM7-Ⅴ7(セカンダリードミナント無) ⅠM7-Ⅴ7/Ⅴ-Ⅴ7(セカンダリードミナント有)
- ⅠM7-Ⅵm7(セカンダリードミナント無) ⅠM7-Ⅴ7/Ⅵ-Ⅵm7(セカンダリードミナント有)
聴き比べてみた時、セカンダリードミナントがある場合、ターゲットがメジャー系であればより胸が高鳴る感じがしますし、マイナー系であればシックでおしゃれな感覚を味わえるかと思います。
セカンダリードミナントの前は、特にⅠである必要はありません。
また、セカンダリードミナントは、同じルートの3和音のダイアトニックコードをターゲットにすることもできますし、セカンダリードミナント自体も3和音のメジャートライアドにしてもオッケーです。
セカンダリードミナントとターゲットのコードの中に3和音と4和音が織り交ざっていてもOKです。
セカンダリードミナントの12キー一覧
上記がセカンダリードミナントの12キーの一覧となります。
もし時間のある方は3和音や、3和音と4和音が混在したものの一覧も作ってみるとより理解が深まるかと思います。
セカンダリードミナントの使い方及び進行例
上述した、Ⅰからセカンダリードミナントを挟んで他のダイアトニックコードに向かう進行はかなりよく使われますが、それ以外にも使い方があります。
使い方は、
- ダイアトニックコードを次のコードをターゲットにしたセカンダリードミナントに置き換える
- ダイアトニックコードと次のダイアトニックコードの間にセカンダリードミナントを挟み込む
- ダイアトニックコード進行に基づかずにセカンダリードミナントを配置
の大きく分けて3通りがあります。
上記は、カノン進行の2番目、4番目、7番目の音を次のダイアトニックコードに続くセカンダリードミナントに置き換えたコード進行です。
上記は普通のカノン進行ですが、
上述した楽譜のように置き換えるとこのような響きになります。
上記は号令進行の間にセカンダリードミナントを挟み込んだ進行です。
こんな響きになります。
上記は、今はやりの「丸サ進行」です。2番目と4番目の音は次のダイアトニックコードに続くセカンダリードミナントになっています。
このような響きです。
こちらは丸サ進行が頻繁に使われているが曲です。
Aメロや間奏、サビの一部が丸サ進行となっています。
まとめ
「セカンダリードミナントを分かりやすく解説!使い方や一覧に進行例も!」と題し、ノンダイアトニックコードの中でも最も重要度が高いセカンダリードミナントについて解説してきました。
既存曲の中から、セカンダリードミナントを見つけて分析し、前後の流れなどがどのようになっているかを把握することで習得が確実となります。
その際耳コピができればベストですが、難しい場合は楽譜を購入してもOKです。
なお、セカンダリードミナントを習得したから、必ず使わなければならないというわけではありません。
ダイアトニックコードのみの方が良い場合もありますし、セッションが繰り返す中で、使う、使わないを分けて変化を加えることもできます。
セカンダリードミナントを使えるか使えないかで楽曲のクオリティが大きく変わりますので、ぜひとも覚えていただければと思います。