以前ダイアトニックコードについてその機能による分類を説明しました。
その中で、Ⅴ7及びⅤと分析がつくダイアトニックコードは、「ドミナント」という不安定な響きを持つ機能に分類されることをお伝えしました。
本記事では、その「ドミナント」に焦点を当て、ドミナントから次のルートへの動き、いわゆるドミナントモーションについて解説し、それが音楽にどのような意味を与えるのかという点を解説していきます。
ダイアトニックコードにおいてドミナントに当たるものはルートは1つですが、今後さらに高度な内容に入っていくと、様々な種類のドミナントを習得していくことになります。
ダイアトニックコードのドミナント(Ⅴ7及びⅤ)はそのための基礎知識となり重要ですので、これから解説していきたいと思います。
なお、当記事の内容を理解するには、ダイアトニックコードや、その機能についての前知識が必要ですので不安な方はリンクをご覧ください。
ドミナントモーションとは?
こちらの記事にて、ダイアトニックコードの進行例をたくさん紹介しましたが、そのなかで、Ⅴ-Ⅰ、もしくはⅤ7-ⅠM7と動くものがいくつかあったかと思います。
代表的なのは以下の2つです。
上記はそれぞれ、ジャズの終止形である|Ⅱm7-Ⅴ7-ⅠM7|の進行及び、クラシックの終止形である|Ⅳ-Ⅴ7-Ⅰ|の進行となります。
2番目と3番目の|Ⅴ7(or Ⅴ)-ⅠM7(or Ⅰ)|の動きがドミナントモーションです。
ルートがⅤ→Ⅰと、完全5度下、もしくは完全4度上に動き、構成ルールは4和音の場合はセブンス→メジャーセブンスの動き、3和音の場合はメジャ→メジャーの動きとなります。
ドミナントモーションが音楽の与える意味は?
上述したドミナントモーションは、リスナーが強く予想し、求める動きです。
最初のドミナントの響きを聴いたときに、リスナーは不安な気持ちになり、その次に進んだ時に強い安心感が得られます。
不安とその後の安心感がセットになり、リスナーはその音楽に感動します。
なぜそのように感じるかというと、ドミナントモーションは、「トライトーンのレゾリューション」と「強進行」の2つを兼ね備えているからです。
Cメジャーキーで|Ⅴ7-ⅠM7|の動きすなわちG7-CM7と進行した場合、まずルートモーションがGからCで、完全5度下にあたりますので「強進行」が成立します。
そして、G7には「BとF」というトライトーンに該当する音程が含まれます。
それが、CM7へと進行することで、「CとE」という形で解決されます。
ドミナントモーションは、トライトーンのレゾリューションを伴うことから、「ドミナントレゾリューション」とも言われます。
このように、リスナーが予測し期待する動きのトップ2が両方あるドミナントモーションは、よりリスナーの心に強く響く進行であり、感動的な楽曲を作るには不可欠な進行といえます。
それらの特徴も踏まえてドミナントモーションの響きを体感してみてください。
まとめ
本記事では、「ドミナント」についてその響きの持つ意味などを解説しました。
- Ⅴ(orⅤ7)→Ⅰ(or ⅠM7)の動きをドミナントモーション、もしくはドミナントレゾリューションという
- 上記の動きはルートモーションが完全4度上、もしくは完全5度下となる
- 上記の動きは強進行かつトライトーンのレゾリューションを含むため強い感動をリスナーに与える効果がある
ダイアトニックコードに出てくるドミナント(Ⅴ及びⅤ7)は、またの名を「プライマリードミナント」とも言います。「第一のドミナント」という意味になります。
さらに高度なドミナントを学んでいくためにもまずはプライマリードミナントの響きや役割をしっかり理解していただくことをおすすめします。