当記事では、半音階、英語でいうところのクロマティックスケールについて解説していきます。
作曲をされる方や、楽器の演奏をされる方は特に半音階(クロマティックスケール)の音の構成や響きについて理解しておく必要があります。
クロマティックスケールの特徴としては、
- あらゆるスケールの中で構造はもっとも単純である
- あらゆるスケールの中で楽器で鳴らすには最も高度なテクニックが要される
という相反する2つの特徴があります。
当記事では、半音階(クロマティックスケール)の構成音や、ピアノでの運指について解説し、実際にその雰囲気を味わえるのクラシック楽曲も紹介していきたいと思います。
当記事は、作曲の知識を解説した記事のうちLesson28に該当する記事です。Lesson1から順に学んでいただくとより効果的に理解ができますので、もしよろしければこちらをご覧いただければ共います。
特に本記事の内容を理解していただくには、メジャースケールやマイナースケールの前知識が必要となりますので、不安な方はリンクをクリックしてみてください。
目次
半音階(クロマティックスケール)とは?表記法は?
半音階(クロマティックスケール)とは、その名の通り半音の音階ということになります。
今まで解説してきたメジャースケールやマイナースケールは、「全音階」といわれ、全音半音ルールにのっとってその音の構成が決められています。
一方で、半音階(クロマティックスケール)は、隣り合う音との音程はすべて半音(短2度)となっており、その構造はとてもシンプルです。
また、どの音から音階が始まっても、結局のところ構成音は同じですので、全音階のように、CクロマティックスケールやGクロマティックスケールといった表現はせず、すべて単に「クロマティックスケール」と呼ばれます。
構造はシンプルですが、表記する際は調号がどのようであれ、臨時記号が沢山出てきます。
そのため、表記の際は少しでも見やすくする工夫がされています。
上記に、Cからその1オクターブ上のCまでの上昇していく半音階(クロマティックスケール)を2通りの方法で表記しています。
左側はシャープ主体、右は♭主体で表記していますが、どちらが見やすいですか?断然左ですよね。
♭主体で表記すると、その直後の音にナチュラルを付ける必要が出ますので、臨時記号が多くなり、結果として見にくくなります。
ですので、上昇の半音階を表記するときは♯主体で臨時記号を付けていきます。
一方で下降の場合を上記に示してみました。今度は♯主体で表記した左側ほうがナチュラルが多くなて見にくくなってしまっています。
ですので、下降の半音階を表記するときは♭主体で臨時記号を付けていきます。
楽譜表記は合理性が求められ、「できるだけ臨時記号を少なくする」表記の仕方が求められます。
なお、こちらではCから始まる1オクターブの音域の半音階(クロマティックスケール)を紹介しましたが、特にCから始まらないといけないというルールもありませんし、音域も1オクターブより狭くても広くてもOKです。
半音階(クロマティックスケール)をピアノで弾く際の運指は?
上述したように、半音階(クロマティックスケール)は、全音半音ルールを覚えなくてもいいので構造はシンプルですが、すべての楽器において奏でる際は技術が必要になります。
一方でどの楽器でもすらすらと半音階を奏でられる技術が求められますので、わりと楽器演奏習得の速い時期に徹底的に練習させられることが多いです。
ここではピアノの例を出してみます。
上記がピアノで弾く際の一般的な運指となります。
(1が親指、2が人差し指、3が中指、4が薬指、5が小指です)
白鍵と黒鍵を交互にひく個所では親指と中指で交互にひきます。白鍵が続く個所では後の方の白鍵を人差し指で弾き、その次の黒鍵は中指で弾きます。
上昇の半音階の終わりや下降の始まりは薬指や中指を使います。
この指の動きが高速ですらすらとできるようにピアノのレッスンを受ける場合は徹底的に練習させられることが多いです。
半音階(クロマティックスケール)の響きは?ギャロップやバイエル練習曲で体感!
実際に半音階(クロマティックスケール)の響きを体感していただきましょう。
上記を再生してみてください。
メジャースケールはとても明るい響き、マイナースケールは悲しい響きですが、半音階(クロマティックスケール)は無機質な響きを感じていただけたかと思います。
実際に半音階(クロマティックスケール)の響きを体感できるクラシック楽曲を紹介してみます。
上記がリストの半音階的大ギャロップというクラシックの楽曲です。
(外部リンクなので、公開者により消去される可能性もあります)
楽しい雰囲気に半音階のメロディが乗せられています。
リストの楽曲は難しすぎて私も弾けませんが。。。
もう少し単純な楽曲を紹介します。
バイエル教則本106番。
ピアノのレッスンを習う方が最初に手に取るであろう教則本「バイエル教則本」の一番最後の曲です。
半音階の練習のために作られた初心者向けの楽曲なので、曲自体は無機質ですがより半音階の響きを感じ取りやすいかと思います。
(こちらも外部リンクなので、公開者により消去される可能性もあります)
まとめ
本記事では、半音階(クロマティックスケール)について解説してきました。
- 作曲や楽器演奏の際の習得には半音階(クロマティックスケール)の音の構成や響きを理解することが大切である
- 半音階(クロマティックスケール)は他のスケールと比べて響きが無機質であるという特徴がある
- 表記する際は上昇は♯主体、下降は♭主体で表記することで、できるだけ臨時記号を少なくして合理的に表記する必要がある
- 半音階(クロマティックスケール)は楽器演奏の際高速ですらすらと奏でられる技術が求められる
また、当記事の感想や分かりにくい箇所、質問などございましたらコメント欄に書いていただけると助かります。
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