本記事では、強弱記号やアーティキレーション、装飾記号といった音楽記号について解説します。
作曲家と演奏者や歌い手の間で、楽曲の演奏や歌唱について「このようにする」というやり取りを円滑に行うためにも強弱記号やアーティキレーション、装飾記号の理解が必要ですので、これらの活動に携わる方は是非ともお読みいただければと思います。
こちらは、作編曲に関する知識のLESSON18に該当する記事です。LESSONから順に学んでいただくとより効果的に理解ができますので、検索などで来られた方はよろしければこちらの記事からお読みいただければと思います。
特に当記事の内容を理解していただくには、以下の内容の理解が必要となりますので不安な方は下記リンクをクリックしてご覧ください。
強弱記号について
「強弱記号」は、その名の通り音の強さや弱さを表す記号となります。
強弱記号は主に、
- 単純にその場所の音の大きさを示すもの
- 強さの変化を示すもの
- 特定の音の強さを示すもの
があります。
単純にその場所の音の大きさを示すもの
その場所の音の大きさを示すものは、上記のように五線譜の下などに示されています。
主に上記票で示したようなものがあります。
楽譜などを提出する際はこういった記述も加えると、演奏者や歌い手がより豊かな表現をしやすくなります。
- ピアニッシッシモ:ピアニッシモより弱く
- ピアニッシモ:特に弱く
- ピアノ:弱く
- メッゾピアノ:やや弱く
- メッゾフォルテ:やや強く
- フォルテ:強く
- フォルティッシモ:特に強く
- フォルティッシッシモ:フォルテッィシモより強く
という意味合いになり、下に行くほど音が強くなります。
譜面に記載はできてもDAWの機械演奏には反映されない場合がありますので、その場合はベロシティの調整を行います。
音量の変化を示すもの
音量の変化を示すものは上記画像のようなものがあります。
左から徐々に開いて行くような記号はクレッシェンドで「だんだん大きく」、右に向かって閉じていくような記号はデクレッシェンドで「だんだん小さく」の意味です。
クレッシェンドとデクレッシェンドは上記のように文字で表記されることもあります。
また、デクレッシェンドと同じ意味でdim(ディミヌエンド)という記号もよく使われます。
譜面に記載はできてもDAWの機械演奏には反映されない場合がありますので、その場合はベロシティの調整を行います。
特定の音の強さを示すもの
特定の音の強さを表すもので最も頻繁に出てくるのはアクセントです。
「>」のようなマークがアクセントで、その音を強調して強く演奏します。
スフォルツァートやスフォルツァンドはアクセントの仲間で、アクセントよりもさらにその音を強く演奏します。(スフォルツァートよりもスフォルツァンドの方がより大きい)
フォルテピアノという記号も存在します。
その音のアタック(出始めのみ)強くして、その後すぐ弱くします。
ピアノや弦楽器での表現は困難ですが、ボーカルや吹き込む域の量で音量を調整できる管楽器の演奏でよく使われます。
以下がフォルテピアノの演奏例です。
譜面に記載はできてもDAWの機械演奏には反映されない場合がありますので、その場合はベロシティの調整を行うか、キースイッチに「フォルテピアノ」の奏法があればそちらを利用するのもOKです。
アーティキレーションについて
アーティキレーションは、音のつながりや長さなどに対して指示を行い、音を整えるためのもので、たくさんありますがその中でもよく使われる代表的なものを紹介していきます。
- スタッカート その音を短く切って
上記画像の四分音符についているのがスタッカートで、その音を短く切って演奏します。
スタッカートの仲間で上記のようなものもあり、「スタッカーティシモ」といいます。スタッカートよりもより短く音を着るという意味です。
DAW上では表記はできても機械演奏に反映されませんので、上記のように短い音を入れるか、プラグインでスタッカート奏法のキースイッチがある場合はそちらを利用してもOKです。
- テヌート その音の長さを十分に保って
- フェルマータ その音を長く(2倍くらい)
ちなみに私は中学校の時音楽のテストで「フェルマータ」を「フェルマーター」と語尾を伸ばして書いてしまい×を食らって100点を逃したことがあります。
- スラー 音を滑らかにつなげて
- タイ 2つの音を繋げる
スラーとタイは姿かたちがよく似ていますが意味は違います。
スラーは、その間の音を滑らかにつなぎます。ボーカルや管楽器ならば一息で表現する塊を指します。
タイは同じ高さの2つの音を繋ぎます。
音の長さが小節をまたぐ際などに用います。
タイトスラーの見分け方としては、
- タイは必ず2つの音だがスラーは3つ以上繋がっていることが多い
- タイは必ず同じ高さの音だがスラーは違う高さのケースが多い
といった点です。
装飾記号について
装飾記号は、その名の通り音を飾り付けるための記号です。
演奏時はあくまでも「装飾」なので大げさにならないことが重要です。イヤリングやピアスが顔より大きかったらおかしいのと同じで、装飾音符もさりげなく演奏することが重要です。
DAWでは表記ができても機械演奏に反映されないことも多いので、以下に示す演奏例のように入力します。
- 短前打音
上記楽譜上段の全音符の前に小さな八分音符があり、スラッシュがついています。これは、「短全打音」という装飾音符で、一瞬だけその音を前に着けます。
DAWでは演奏例のように手前に短い音符を付けて対応します。
- 複前打音
短前打音が複数付いたバージョンです・3つ以上つくこともあります。
- 長前打音
短前打音のスラッシュのないバージョンです。この場合は装飾音符の書かれている音符の種類(上記では十六分音符)分の長さを装飾音符のみで消費し、後につく音符がその分短くなります。
- トリル
トリルはその音とその一つ上の音を交互に細かく演奏する装飾記号です。
- モルデント
モルデントは、音の始めに、その音とその1つ上の音を細かく複前打音のように入れます。
- グリッサンド
グリッサンドは、鍵盤楽器の場合手の母指球の部分などで白鍵を滑らせるように演奏しますし、弦楽器の場合は右手ではじいた音を伸ばしたまま左手を弦の上でスライドさせ、音の高さを滑らかに変化させます。
DAWでは、上記画像の入力例のように細かい音符を入力するか、ピッチベンドを使ってピッチカーブを描いて表現します。
まとめ
当記事では、強弱記号やアーティキレーション及び装飾記号について、その意味や演奏方法、入力方法について解説してきました。
当記事で示したものは一部ですので、いろんな楽譜を見て知らない音楽記号が出てきたらグーグル検索などで調べてみてください。
また、「ベーシックコース」に該当する記事につきましては、コメントも受け付けておりますので、意見や質問、分かりにくい箇所などございましたら書き込んでいただければと思います。
なるべく早い段階でお返事します。
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