雅楽や日本民謡、童謡など、日本古来の音楽にも独自の音階が存在します。
コード理論は、アメリカで体系化されたものですので、コード理論を教える講師の人は、割と日本の音楽についての説明はスルーしがちです(分かっていないことはないと思いますが)
一方で、日本独自の音階は、現代のJ-POPなどにも大きな影響を与えている、楽曲の表現をより豊かにするためには是非とも知識として入れておきたいところですので、本記事は3つの日本の音階(陽音階、陰音階、琉球音階)について、その響きの特徴や構成音について説明していきたいと思います。
当記事は、作曲の知識を解説した記事のうちLesson30に該当する記事です。Lesson1から順に学んでいただくとより効果的に理解ができますので、もしよろしければこちらをご覧いただければ共います。
特に本記事の内容を理解していただくには、メジャースケールやマイナースケール及びペンタトニックスケールの前知識が必要となりますので、不安な方はリンクをクリックしてみてください。
目次
日本の音階(陽音階&陰音階&琉球音階)の覚え方は?
日本の音階は、代表的なものが3種類あります。1つは明るい響きの陽音階、2つ目は悲しい響きの陰音階、3つめは沖縄音楽に使われる琉球音階です。
それぞれは5つの音で構成されており、陽音階はメジャースケールから、陰音階はナチュラルマイナースケールから、琉球音階はメジャースケールから2つのの音を抜いた音階となります。
陽音階の構成音について
陽音階は、日本の音階のうち明るい響きのもので、演歌や民謡の他、J-POPや昭和の名曲などでも和風感があるものはこの音階が使われていたりします。
具体的には、メジャースケールから4番目の音と7番目の音を抜いた構成音となり、俗にヨナ抜き音階といわれます。
上記画像の左側が通常のCメジャースケール、右側がハ長調の陽音階となります。
そして実は、日本の陽音階は前記時で解説したメジャーペンタトニックスケールと全く同じ構成のスケールということになります。
上記が日本の陽音階の響きです。和風なテイストを感じていただけるかと思います。
メジャースケールを暗記されている方は「ヨナ抜き」であることを抑えるだけですべての陽音階を把握できますが、最初はDAW打ち込みやピアノ、リコーダーなどで鳴らしてみてその響きを五感で体感していただく方がより理解が深まります。
陰音階の構成音について
陰音階は、日本の音階のなかでも悲しい響きが特徴の音階です。演歌や童謡、民謡などに用いられます。
陽音階とメジャーペンタトニックは同じ構成音ですが、陰音階とマイナーペンタトニックは構成音が異なりますのでご注意ください。
具体的には、ナチュラルマイナースケールから4番目の音と7番目の音を抜いた構成音となります。
日本独自の音階であり、アメリカ発祥のコード理論で語られることはあまりありません。
日本の音階のは明るいものの悲しいものも両方ヨナ抜きであることが特徴です。
上記画像の左側が通常のAナチュラルマイナースケール、右側がイ短調の陰音階となります。
上記が日本の陰音階の響きです、物悲しくもしみじみと美しい日本の情景が浮かぶような音階です。
ナチュラルマイナースケールを暗記されている方は「ヨナ抜き」であることを抑えるだけですべての陽音階を把握できますが、最初はDAW打ち込みやピアノ、リコーダーなどで鳴らしてみてその響きを五感で体感していただく方がより理解が深まります。
琉球音階の構成音について
琉球音階は、沖縄民謡や沖縄ポップスなどで用いられる明るい響きの音階です。
メジャースケールから、2番目と6番目の音を抜いた音階であり、「ニロ抜き」とも言われます。
マイナーペンタトニックスケールと同じ抜き方をメジャースケールから行うような感じです。
日本独自の音階であり、アメリカ発祥のコード理論で語られることはあまりありません。
上記画像の左側が通常のCメジャースケール、右側がハ長調の琉球音階となります。
上記が琉球音階の響きです。沖縄の美しい風景が浮かんでくるような響きとなっています。
メジャースケールを暗記されている方は「ニロ抜き」であることを抑えるだけですべての琉球音階を把握できますが、最初はDAW打ち込みやピアノ、リコーダーなどで鳴らしてみてその響きを五感で体感していただく方がより理解が深まります。
日本の音階(陽音階&陰音階&琉球音階)の一覧は?
上記が日本の陽音階の一覧となります。
上記が日本の陰音階の一覧となります。
上記が琉球音階の一覧となります。
日本の音階の使用楽曲例
日本の音階の使用楽曲例を紹介していきます。
坂本九さんの名曲「上を向いて歩こう」Aメロ部分は陽音階で構成されています。
上記動画はJAZZ風にアレンジされていてはいだしょうこさんが歌っています。
いわずとしれた演歌の名曲氷川きよしさんの「白雲の城」は、日本の陰音階がメロディのベースとなっています。
きゃりーぱみゅぱみゅさんの「にんじゃりばんばん」は、和風エレクトロを代表する楽曲ですが、イントロ間奏アウトロが陰音階、サビがマイナーペンタトニック、メロ部分がメジャースケールとなっていて、この曲から複数のスケールの雰囲気が味わえるようになっています。
超有名な沖縄を舞台とした反戦歌でもあるThe BOOM「島唄」は、Bメロのみマイナーペンタトニックですが、それ以外の大部分が琉球音階のメロディとなっています。
是非とも生の音楽からの本の音階の響きを味わっていただければと思います。
まとめ
当記事では、日本の音階について詳しく説明してきました。
じつは、前記時で解説した2種類のペンタトニックと、本記事の3種類の日本の音階は、いずれもメジャースケールかナチュラルマイナースケールを、ヨナ抜き、もしくはニロ抜きしたものとなっています。
ヨナ抜き | ニロ抜き | |
メジャースケール |
メジャーペンタトニック 陽音階 |
琉球音階 |
ナチュラルマイナースケール | 陰音階 | マイナーペンタトニック |
表にすると上記のような感じですので、是非とも覚えていただければと思います。
当記事に関しまして質問などありましたらコメント欄より受け付けています。
そして、当記事をもって「ベーシックコース」が終了となります。
次回からは「スタンダードコース」として、いよいよコードのお話に入っていきます。
ここまでの30記事は、コードを学ぶうえでの前知識としてとても重要なものばかりなので、是非とも繰り返しお読みいただければと思います。
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