ダイアトニックコードをすべて把握する方法や、ダイアトニックコードが持つ機能について解説してきました。
本記事では、実際のダイアトニックコードの進行例を終止形やカノン進行などの超王道からマニアックな信仰まで、音声付きで50パターン紹介していきたいと思います。
コード進行に著作権はないので、本記事のパターンをいくつか組み合わせるだけでも楽曲まるまるのコード進行を築くことも可能です。
最も重要なのは終止形パターンの4つであり、これは覚えていただく必要があります。
その次にカノン進行とそれらが変化したものもかなりよく使われます。
それ以外にほぼ無限通りのコード進行がありますので、機能の並びのパターンごとに、合計50種類紹介していきます。
上記画像のようにご覧ください。
一部の進行は雰囲気を出すためのアレンジもしています。
よく使われる進行には下に説明なども施している場合があります。
音声はすべてCメジャーキーの際のものとなりますが、同じ分析で他のキーでも使えます。
雰囲気から、こちらで3和音か4和音か選んでおりますが、同じローマ数字のもので3和音と4和音を入れ替えたり混ぜたりしていただいても使用可能です。
なお、この記事の内容を理解していただくには、ダイアトニックコードおよびその機能についての前知識が必要となりますので、不安な方はリンクをご覧ください。
目次
- 1 終止形パターン
- 2 カノン進行とその派生型
- 3 TSDT/トニック-サブドミナント-ドミナント-トニック の進行パターン
- 4 SDTT/サブドミナント-ドミナント-トニック-トニック の進行パターン
- 5 SDTD/サブドミナント-ドミナント-トニック-ドミナント の進行パターン
- 6 TTSD/トニック-トニック-サブドミナント-ドミナント の進行パターン
- 7 STDT/サブドミナント-トニック-ドミナント-トニック の進行パターン
- 8 TDSD/トニック-ト-ドミナント-サブドミナント-ドミナント の進行パターン
- 9 STST/サブドミナント-トニック-ト-サブドミナント-トニック の進行パターン
- 10 TSTT/トニック-サブドミナント-トニック-トニック の進行パターン
- 11 TTST/トニック-トニック-サブドミナント-トニック の進行パターン
- 12 TTTT/トニック-トニック-トニック-トニック の進行パターン
- 13 SSTS/サブドミナント-サブドミナント-トニック-サブドミナント の進行パターン
- 14 まとめ
終止形パターン
まず最も重要なものが終止形のパターンで、これらはすべて覚えていただく必要があります。
終止形とは読んで字のごとく、曲やセッションの終わりに用いられる進行のことです。
1|Ⅱm7-Ⅴ7-ⅠM7|(Dm7-G7-CM7)
「ツーファイブワン」「ジャズの終止形」といわれる最も重要なダイアトニックコード進行例です。
ルートの動きが完全4度上がって完全5度下がるというものになっていて、このルートモーションは今後様々な技法で出てきますので必ず覚えていただく必要があります。
2|Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ|(F-G-C)
「フォーファイブワン」「クラシックの終止形」といわれる重要な進行例です。クラシック以外にもポップスやジャズなど幅広く使用可能です。
3|Ⅳ-Ⅰ|(F-C)
「教会音楽の終止形」「アーメン進行」とも言われます。メジャーキーの演歌の終わりにもよく使われます。
4|Ⅱm-Ⅰ|(Dm-C)
「教会の終止形」の2つ目のパターンです。
カノン進行とその派生型
クラシックからポップス、ロックまで、昔から今まで、幅広く使われているのが「カノン進行」といわれる進行です。
クラシックの名曲「パッヘルベルのカノン」は、現代音楽の理論に当てはめた場合、同じコード進行を繰り返していますが、その進行は「大逆循環」と呼ばれ、人間の耳にも最も心地よく聞こえる進行といわれています。
そのため、クラシックから現代音楽まで幅広くこの進行が使われています。
8つのコードからなる長い進行なので、後半は少し変更が加わることも多いです。
5|Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ|(C-G-Am-Em-F-C-F-G)
「パッヘルベルのカノン」の進行をそのまま利用したものです。
6|Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅰ-Ⅱm-Ⅴ|(C-G-Am-Em-F-C-Dm-G)
ポップスなど現代音楽でカノン進行が使われる際によくとられる変法です。7番目の音がⅡmに変更されています。
7|Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅲm-Ⅱm-Ⅴ|(C-G-Am-Em-F-Em-Dm-G)
さらに6番目の音をⅢmに置き換えたカノン進行の変法です。
TSDT/トニック-サブドミナント-ドミナント-トニック の進行パターン
ここからは、コードの機能のならびごとにコード進行パターンを紹介していきたいと思います。
8|Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ|(C-F-G-C)
クラシックや童謡とてもよく使われます。幼稚園や保育園の号令でも使われるため「号令進行」とも言われます。
3和音の場合はすべてメジャーキーとなりとても明るい進行ですが、オシャレ好きなボカロPの間ではあまり好まれないようです。
9|Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ|(Am-F-G-C)
小室哲哉さんが作曲した曲によく出てくるので「小室進行」とも言われます。小室哲哉さんの影響が大きいJ-POP界でとてもよく出てくる進行です。
10|ⅠM7-Ⅱm7-Ⅴ7-ⅠM7|(CM7-Dm7-G7-CM7)
号令進行のジャズバージョンのような位置づけになり、とてもよく使われます。
11|Ⅵm-Ⅱm-Ⅴ-Ⅰ|(Am-Dm-G-C)
BTSの「Dynamite」がこの進行のループとなっています。
12|Ⅲm7-ⅣM7-Ⅴ7-Ⅵm7|(Em7-FM7-G7-Am7)
13|Ⅲm7-ⅣM7-Ⅴ7-ⅠM7|(Em7-FM7-G7-Cm7)
14|Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵm|(Am-F-G-Am)
15|ⅠM7-ⅣM7-Ⅴ7-ⅥM7|(CM7-FM7-G7-AM7)
SDTT/サブドミナント-ドミナント-トニック-トニック の進行パターン
16|ⅣM7-Ⅴ7-Ⅲm7-Ⅵm7|(FM7-G7-Em7-Am7)
バラードなどによく出てくる王道進行です。個人的にもっとも好きな進行です。
ケツメイシの「さくら」はほぼこの進行のループです。
17|ⅣM7-Ⅴ7-Ⅵm7-Ⅲm7|(FM7-G7-Am7-Em7)
先ほどの王道進行の3番目と4番目を入れ替えると今どき感が出ます。
18|Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅲm7-Ⅵm7|(Dm7-G7-Em7-Am7)
王道進行の最初の音をツーマイナーに変えたもので、これもバラードなどで生える進行です。
19|Ⅱm-Ⅴ-Ⅰ-Ⅵm|(Dm-G-C-Am)
SDTD/サブドミナント-ドミナント-トニック-ドミナント の進行パターン
20|Ⅳ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅴ|(F-G-Am-G)
ヴィジュアル系のロックで比較的使われる格好良い感じの進行です。
TTSD/トニック-トニック-サブドミナント-ドミナント の進行パターン
最初にトニックが続くので曲の始めなどに使いやすいかと思います。
21|Ⅰ-Ⅵm-Ⅱm-Ⅴ|(C-Am-Dm-G)
バラードや童謡で非常によく出てくる進行です。
22|Ⅰ-Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ|(C-Am-F-G)
洋楽によく使われます、スティービーワンダーの「スタンドバイミー」やテイラースイフトの「Me」はこの進行のループとなっています。
23|ⅠM7-Ⅲm7-ⅣM7-Ⅴ7|(CM7-Em7-FM7-G7)
昭和のアイドル風な香りのするコード進行です。
24|Ⅲm7-Ⅵm7-Ⅱm7-Ⅴ7|(Em7-Am7-Dm7-G7)
強進行が続くパワフルな進行で汎用性が高いです。
25|Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅴ|(Am-Em-F-G)
STDT/サブドミナント-トニック-ドミナント-トニック の進行パターン
最初のダンス系進行以外は少しマニアックな進行ですがうまく使えばオリジナリティが増します。
26|Ⅳ-Ⅰ-Ⅴ-Ⅵ|(F-C-G-A)
EDMなどダンス系の楽曲によく使われる進行です。
たとえばO-Zoneの「恋のマイアヒ」やきゃりーぱみゅぱみゅさんの「原宿でイヤホイ」のサビがこの進行になります。
27|Ⅱm-Ⅵm-Ⅴ-Ⅰ|(Dm-Am-G-C)
28|Ⅳ-Ⅵm-Ⅴ-Ⅰ|(F-Am-G-C)
29|Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅴ7-Ⅵm7|(Dm7-Em7-G-Am7)
30|Ⅱm7-ⅠM7-Ⅴ7-Ⅵm7|(Dm7-CM7-G-Am7)
TDSD/トニック-ト-ドミナント-サブドミナント-ドミナント の進行パターン
31|Ⅵm-Ⅴ-Ⅳ-Ⅴ|(Am-G-F-G)
ロック系で使えるストレートな雰囲気の進行です。
32|Ⅰ-Ⅴ-Ⅱm-Ⅴ|(C-G-Dm-G)
先ほどとは打って変わって可愛らしい童謡に使える進行です。
STST/サブドミナント-トニック-ト-サブドミナント-トニック の進行パターン
ドミナントが無い進行パターンです。ダイアトニックコードでドミナントを使うとルートがG1択になりますが、それがない分自由度の高い機能の並びです。
33|ⅣM7-Ⅲm7-Ⅱm7-ⅠM7|(FM7-Em7-Dm7-CM7)
ルートが階段状に下がっていく進行で、耳なじみが良くJ-POPなどで高頻度で使われます。
34|Ⅱm7-Ⅲm7-ⅣM7-Ⅲm7|(Dm7-Em7-FM7-Em7)
35|Ⅳ-Ⅰ-Ⅱm-Ⅵm|(F-C-Dm-Am)
36|ⅣM7-Ⅲm7-Ⅱm7-Ⅲm7|(FM7-Em7-Dm7-Em7)
37|Ⅱm-Ⅵm-Ⅳ-Ⅰ|(Dm-Am-F-C)
TSTT/トニック-サブドミナント-トニック-トニック の進行パターン
トニックが多めの安心化の強い進行が多いです。
38|ⅠM7-Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅵm7|(CM7-Dm7-Em7-Am7)
バラードによく使われます。マイナー系が多めですが暗い感じはあまりしません。
39|ⅠM7-ⅣM7-Ⅲm7-Ⅵm7|(CM7-FM7-Em7-Am7)
バラードの良く使われ、強進行が多めなので素直な響きです。
40|Ⅰ-Ⅳ-Ⅰ-Ⅵm|(C-F-C-Am)
41|Ⅰ-Ⅱm-Ⅰ-Ⅵm|(C-Dm-C-Am)
42|Ⅵm7-Ⅱm7-Ⅲm7-Ⅵm7|(Am7-Dm7-Em7-Am7)
TTST/トニック-トニック-サブドミナント-トニック の進行パターン
同じくトニックが多めで安心感のあるコード進行です。
43|ⅠM7-Ⅲm7-ⅣM7-ⅠM7|(CM7-Em7-FM7-CM7)
44|Ⅵm7-Ⅲm7-ⅣM7-ⅠM7|(Am7-Em7-FM7-CM7)
マイナー系の優しい響きが特徴でバラードなどで使いやすいです。
45|Ⅲm7-Ⅵm7-Ⅱm7-ⅠM7|(Em7-Am7-Dm7-CM7)
46|Ⅲm7-Ⅵm7-ⅣM7-ⅠM7|(Em7-Am7-FM7-CM7)
TTTT/トニック-トニック-トニック-トニック の進行パターン
全てトニックからなるマニアックな進行パターンですが、使えるものもあります。
47|ⅠM7-Ⅲm7-ⅥM7-Ⅲm7|(CM7-Em7-Am7-Em7)
48|ⅠM7-ⅥM7-Ⅲm7-ⅥM7|(CM7-Am7-Em7-Am7)
SSTS/サブドミナント-サブドミナント-トニック-サブドミナント の進行パターン
サブドミナントが中心となるマニアックな進行です。
49|Ⅱm7-ⅣM7-Ⅲm7-ⅣM7|(Dm7-Em7-Em7-FM7)
50|ⅣM7-Ⅱm7-Ⅲm7-ⅣM7|(FM7-Dm7-Em7-FM7)
まとめ
本記事では、ダイアトニックコードの進行例を50パターン紹介しました。
音声付きでここまでの数を、機能の並びごとに整理して紹介しているページはあまりないと思いますが。それでもここで示したのは進行のほんの一例です。
書くコードが持つ響きを理解してから様々なコード進行を作成したり、ここで紹介したものでも他のキーで試してみるなどしていただけると理解が深まるかと思います。