「ナニコレ珍百景」
「月曜から夜更かし」
などなど・・・
様々なメディアで、すごすぎると話題になっている伝説のユースホステルが、北海道の礼文島にあります。
その名前は「桃岩荘ユースホステル」
そのすごさを一部ですが紹介させていただきます。
そして、桃岩荘ユースホステルでほぼ毎日実施されている「愛とロマンの8時間コース」の紹介もしていきます。
桃岩荘ユースホステル概要
北海道の稚内市の西に浮かぶ礼文島にあるユースホステルです。
稚内から礼文島の港まではフェリーで2時間30分ほど、港から香深港から送迎があります。

桃岩荘ユースホステルは、昔ニシン漁の番屋として使われていた古い建物を、宿泊施設用として利用しているものです。

建物は築140年と古いですが、ヘルパー(ユースホステルのスタッフのことをヘルパーといいます)の賢明な働きと、毎朝のお掃除タイムのため、古さのいい味だけが出ていて館内は清潔です。
館内には、様々な歌の歌詞が張られていて、これは後述するミーティングで歌われます。

桃岩荘ユースホステルは、礼文島の西海岸の断崖絶壁にあり、周囲にはほかに建物はありません。天気が良ければ、水平線に沈むきれいな夕日を見ることができます。夕日のきれいな日には。「夕日の儀式」が行われます。夜は星もきれいです。
部屋は男女別の相部屋。男性は、ミーティングルームの上の回転ベッドで就寝します。
トイレは汲み取り式なので、きちんとトイレのフタを閉めないと館内ににおいが広がるので注意です。
ミーティングに参加し、後述する「愛とロマンの8時間コースを歩く場合は、早めの入浴が必要です。余裕を持った旅プランをってましょう。
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そして桃岩荘ユースホステルの名物、「ミーティング」です。参加は強制ではありませんが、このミーティングが名物なので、宿泊する以上参加したほうがネタになるでしょう。
礼文島の観光案内や、館内の説明などに加えて、宿泊客全員で歌って踊ります。歌う歌は、1960年代~90年代にヒットした演歌やフォーク、ポップスなどのほか、桃岩荘ユースホステルで毎年作られている、「今年の歌」なる歌もたくさん歌います。
今年の歌の中でも有名なのが1972年に作られた「旅の終わりに」や、2005年に作られた「ありがとう」で、今でもよく歌われている歌です。
さらに、「島を愛す」という、礼文島とお隣の島について歌った歌も歌います。
そして、「桃岩荘フルコース」なる踊りも。踊りに使われる歌は、少し懐かしいアニメソングが中心です。踊りは覚えてなくても大丈夫。ヘルパーさんも一緒に踊るので、見よう見まねで何とか体を動かしてみると自然と楽しくなります。私も何度も行っていますが覚えていません。
ミーティングに参加する、というより、この宿に泊まるのには、「知性」「教養」「羞恥心」は捨ててくださいと最初にアナウンスされます。残念ながらこの国で生活するためには必要なものですが、ここに泊まるときは捨ててしまいましょう。ただし帰るときにもう一度拾うのを忘れないように注意しましょう。
宿泊施設でどんちゃん騒ぎをします。静かに過ごしたい、という旅人の方まれにいらっしゃいますので、そこがこの宿に賛否両論があるところでしょうか。
この島には、このユースホステルが名付けたのか、「愛とロマンの8時間コース」というトレッキングコースがあります。これに参加するには、必ずミーティングの後の説明会に参加する必要があります。
規則正しいユースホステルなので、就寝時間もあり、説明会の後風呂に入れませんので、ミーティング前に入れるようなプランにすることをお勧めします。
愛とロマンの8時間コース
愛とロマンの8時間コースを歩く場合、朝早いので寝坊しないように注意しましょう。
このコース、8時間という名前ですが、8時間で歩ききることはほぼ不可能です。 メンバーにもよりますが、平均10時間くらいかかります。水平距離は30㎞を超えます。
大昔使われていたコースが、変更になったりして、距離が長くなったようです。コース中には若干危険な個所もあり、単独行動は厳禁です。
以下、写真に一般の人が入っていたので一部画像を加工しています。
序盤

スタートは、礼文島最北のスコトン岬。目の前には、トド島が見えて、絶景スポットです。歩いていくと、北海道らしいさわやかな草原風景を楽しめます。


出発して間もなく、このコース最初で、全体の中でも2番の難関になります。ゴロタ岬という地点を目指して、海岸から一気に急坂を上がっていきます。

難関を超えて、ゴロタ岬に着くと絶景が広がります。このあたり、風が強く、帽子や眼鏡に注意しましょう。ここの景色を楽しんだら、また海岸線まで一気に下がります。しばらく海岸線を歩いていると、鉄府海岸というビーチに出ます。

青い海と、砂浜が美しいビーチ。このビーチが有名なのは、特殊な貝殻がたくさん落ちていることです。

穴あき貝。貝殻の中身が、天敵に食べられ、そのあとで穴が開いてしまっている状態です。この穴にひもを通していくつもの貝殻をつなげると、天然のアクセサリを作れます。あくまでも個人用に。恋人にプレゼントしたらケチだと思われて嫌われます(笑)
そのあと、小さなピークを越えて、再び海岸線に出ます。

海岸線に出ると、澄海岬という岬に出ます。ここは、車道からもつながっているので、ツアー客のお客さんもいてにぎやかです。
その名の通り、澄んだ海の岬。8時間コースを代表する絶景ポイントですのでしっかり楽しんでいきましょう。
ここには売店もあり、名物の「たこざんぎ」はお勧めです。ただしまだまだ先は長いので、あまり長居しすぎないように注意しましょう。
ここまでで距離でいうと3分の1くらい。体力的な問題や、天候などにより、リタイアするならここが最初のポイントになります。
中盤


澄海岬を過ぎると、再び山道登り、開けたところに出ます。天気が良ければ、利尻がはっきり見えます。
しばらく開けた広い道を緩やかに登っていきます。途中、「召国」という集落への分岐点がありますが、間違えると大きな時間ロスになりますので、間違って召国へ行かないように注意です。
たいがいメンバーに経験者がいるので大丈夫だと思います。

一気に海岸まで下るポイントがあります。ここが有名な「砂すべり」というポイント。急な砂地の道を一気に駆け降りることができます。
このコースが「愛とロマンの8時間コース」と呼ばれるのはここのポイントにあります。男性が下りた後、このポイントを駆け降りてくる女性を受け止めることで、愛が生まれやすい・・・・と一応言われています・・・・・・。

砂滑りの後が、ちょっと体力を奪われるポイントです。海岸線を歩いていきますが、岩がごつごつとしていて歩きにくいです。波で濡れていたりするので、転ばないように注意が必要です。

1kmほど歩きにくい海岸線を歩くと、宇遠内という集落に出ます。車道のない秘境の中の秘境の集落です。ここの売店でちょっと休憩することができます。
売店は女性の方がやっていますが、その御主人が漁師なので、もしここでリタイアしたい場合は、御主人の都合がつけば有料で船をチャーターする事もできます。
終盤
宇遠内を過ぎると、最大の難関。見上げるような急坂を登り、ここまできた疲れも加わってけっこうしんどいです。道に咲く花に癒されながら難関を超えていきましょう。
この難関の後、少し前は礼文林道という林道に入り、レブンウスユキソウ群生地などを経由しましたが、大雨の災害により林道が封鎖されており(2015年現在)、難関突破後はすぐ車道に出て宿へ戻るルートになりました。
※2017年以降は大規模なトンネル工事で、最後の方に通っていた車道が閉鎖されているようです。このツアー自体は開催されているようですが、コースが変わっています。詳しいコースは前日の説明会で確認してください。
無事桃岩荘ユースホステルに帰ると、ヘルパーや宿泊客のみんなが、長い距離を歩いたことをたたえて出迎えてくれます。これも感動です。
そして、入浴して汗を流し、夕食をとったら再びミーティングです
見送り
桃岩荘ユースホステルは、最後まで暖かい宿です。島を離れる日、ヘルパー、宿泊客の人たちが、港でお見送りをしてくれます。
そして、ここでミーティングでやった踊りをやります。
はたからみれば変な、気持ち悪い団体と思われるかもしれません。
でもそう思う人に思われていいと思います。少なくともそんな人よりは豊かな経験を得ています!!この楽しさはたとえ白い目で見られても経験しておく価値は十分にある、他ではなかなかできない貴重なものです。

船から港が見えなくなても、「行ってらっしゃい」という声がいつまでも響きます。このシチュエーションに涙する宿泊客も多くいます。そして、また行きたいと思い、多くの人がリピーターになるのです。
この桃岩荘ユースホステルは、泊まれるのは夏の間(6月1日~9月30日)のみです。
この期間外には、東京や京都で「大会」が開かれ、また宿の雰囲気を味わえます。島で出会た仲間とも再開できる可能性がありますのでぜひ大会にも足を運んでみましょう。